Workshop for "Sound studio" at IAMAS
先月5月31日に情報科学芸術大学院大学(IAMAS)にて「サウンドスタジオ演習」という演習科目の講師を特別非常勤講師という立場で行ってきました。思えば以前、多摩美術大学にてゲスト講師として、菊地大谷の大谷(笑)パートをやった(毎回レジュメは僕が書いてたので正に大谷パートだったわけですが)の以来です(わかんないか・笑。図書館にある「憂鬱と官能を教えた学校」という本を参照してください)。で、今回は初の「学校の先生」という正式な立場で教えにいく(「特別」で「非常」ですけどね。どんだけ緊急性が高いんだろう・笑)ということで、まさかIAMASを離れて2ヶ月で先生しにいくとは思っても見ませんでした。演習科目とはいえ。
というわけで、m1のみなさんご苦労さまでした。資料を貼っておきますね。
基本的にワークショップ形式でやったので、資料はあんまりあとから見ても役に経たないかもしれませんね。なにか質問疑問、あと録音、演奏、楽曲制作なんかだと作品作りにもご一緒できるかもしれませんし、ライブとか呼んでくれれば手弁当で行くので今後もよろしくお願いします。一緒になにか面白いことやりましょう。
2019サウンドスタジオ演習.pdf
僕が大石さんに予め準備の為に提出しておいたテックライダー(そんなに詳しく書いてないけど)
で、ちょっとだけ補足というかトリビアルな話を書いておきますね、っていってもスタジオの使いかたではないけど。一曲だけ演習中に聞きましたけど、The Policeの”Every breath you take” ですが下記の曲です。
この曲のMVですが、ゴドレイ&クレイムという二人組によって作られています。その名前よりも10ccという名前のほうが知ってる人は知ってるかもしれませんが、こんな曲をつくったミュージシャンの二人組みです。
で、話したけども”Every breath you take”はラブソングというか、、、ストーキングの歌でSting本人がなにかインタビューで「偏執的なラブソングを書いたら純愛物みたいに受けとられてしまった。コンサートでは間奏部分で”hurt me, baby(ベイビー、僕を傷付けてよ)”って言うとウケるんだけど微妙な気分になるよね、、、」みたいなことを言ってたことを読んだ記憶がありますが、その後作ったソロアルバムである”The dream of the blue turtles”のオープニングを飾る”If you love somebody, Set them free”という曲で「誰かを好きなったなら、自由にしてあげなよ」という歌を歌っています。これのMVも先程のゴドレイ&クレイムの二人組です。
その後、2枚目のソロアルバム”…nothing like the sun”では、”We’ll be together”という曲で「やっぱり一緒に居たいよね」という歌を歌っていて、一連の曲となっています。
これらの作品ですが、プロダクション的に面白いです。
“Every breath…“の時には3ピースのロックバンドで、もうバンド的には崩壊寸前の中、最高傑作である”synchronicity”を作っていて如何にもスタジオ盤、という感じです。で、ソロになって直ぐの”If you love…“の時には当時の若手中堅のジャズミュージシャン(Stingも元々ジャズベーシストですが、このアルバムではベースを弾いていません。ギターのカッティングを猛練習したそうです)で固めて、音楽的にはジャズがロックに寄っていったフュージョンというジャンルの音楽の逆をやっている、という感じです。いやメンバー今となってはみんな大物ですからね、、、。で、最後の”We’ll be…“の時にはプリプロダクション(作曲とデモ)で”Synclavier”というフルセットで買うととんでもない金額の当時世界最高のシンセ、サンプラーでデモをつくってデモの時点でほとんどアルバムと同じくらいの完成度だったそうです。
でまぁ長々となにを書いてるかというと、こういう名曲も技術と共に作られているわけです。特に20世紀の音楽の発展というのはテクノロジーと切り離して考えることはできません。だってそもそもこんなに音楽が聞かれるようになったのはレコード、ラジオ、CD、テレビなどなどのメディアの力によるものですよね。いまじゃストリーミングか。
最近WWDCで新型のMac Proが発売されてMac Proをフルスペックで使うと1000トラック再生できる!! とかデモでやっていました。そんな極端な例はともかくとしても今みなさんが持っているMacBook Proで上で示した3曲くらいのレコーディングは可能です。下手したらスペックだけなら楽勝かもしれません。というわけで、なにが言いたいかと言うと「いいアイデアと作る気があれば誰にでもチャンスがある」のだけは間違いがないということです。しかもIAMASみたいな所で過していれば、研究や制作に集中できて、良い仲間や先生にも恵まれる(少なくとも僕はそうでした)ので、今は確率変動中(笑)ですよ。
なのでまあ録音に限らずですが、演習科目でやったこと、もう一度くらいやってみてなにか作ってみください。では2年間がんばってくださいね!!
なにかあれば yamato16[at]iamas.ac.jp に気楽にメールしてください。
御互いがんばりましょう!!